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幸せな夢
―――温かい。
微かに香るレモンの匂い。
この爽やかな香りが好きだ。
……千秋さんの香り。
千秋さんの胸の中は温かくて、いつまでも寝ていられるほど気持ちがいい。
『――碧、好きだよ』
千秋さんの形のいい赤い唇が、俺の欲しい言葉を発してる。
声はあの時の―――甘さを含んだ熱っぽい声。
普段の声とのギャップに、最初はやられたな。
俺は至近距離にある千秋さんの唇にちゅっと軽く触れるキスをした。
どうせ、これは俺が勝手に見てる夢なんだ。
夢の中でくらい、俺のしたいことをしてもいいだろう。
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