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誤解と真実
「覚えてますっ!3年前!俺、覚えてます!」
俺はそんな千秋さんの顔を見たくなって、ガバッと体を起こし喉の痛みで枯れた声で思いっきり言った。
「俺が大学の頃、バイトしていたスーパーでお客として来た千秋さんに俺、一目惚れしたんです。……あれが俺の初恋でした」
驚いたように俺を瞠目している千秋さん。
ヘーゼル色の瞳に俺の顔が映っている。
「……ほんと?」
「はい!」
「だたの客の顔なんて覚えてないと思ってたから…嬉しい」
そう言い今までのどんな笑顔よりも、キラキラした笑顔を浮かべた。
「俺もです」
俺も、ただの店員の顔なんて覚えてないと思ってた。
「あぁー。それなら、3年前から俺たち両思いだったのか。何か損した気分だね」
「りょ、両思い…!?」
「あれ?俺さっき告白したんだけど?」
「―――3年前から碧が好きだって」
俺の耳元に甘い声で囁いた千秋さん。
その声の破壊力に、一気に耳から顔、首筋まで赤く染まっっていく。
「……こんな俺の恋人になってくれますか?」
千秋さんは俺をまっすぐ見ている。
その距離があまりにも近くて…、千秋さんの顔は真剣に見詰めたままで、ますます真っ赤になる顔。
俺は恥ずかしくなり、千秋さんを見ずにコクコクと首を縦に振った。
「……ね、こっち見てよ」
千秋さんは俺の顎に軽く触れ、クイっと俯いていた俺の顔を上げさせた。
至近距離にある千秋さんの顔。
「返事ちゃんと聞かせて?俺の彼女になってくれます?」
「――はい。こんな俺だけど…千秋さんの彼女になりたいです」
そんな俺の返事を聞いた千秋さんは、顎に触れたままゆっくり唇を重ねてきた。
唇同士が触れ合うキスを何回か角度を変えながらして、チュッというリップ音で離れた唇。
「とりあえず今日まだ何も食べてないでしょ?お粥作ったから待ってて」
ぼーっと離れていく千秋さんの唇を見ていた俺の頭を、ポンポンと優しく撫でた千秋さんは、寝室を出て行った。
――俺…ほんとうに千秋さんと恋人同士に、なったんだよね?
今回はちゃんと千秋さんから告白された。
しかも千秋さんも3年前から俺のことが好きだった…。
先ほどの千秋さんの表情、甘い声、キスが頭の中をぐるぐる回ってる。
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