94 / 132

邪魔者二人

 高宮千秋side  碧との初めての甘い甘い情事後、引っ付いてイチャイチャしていた俺たち。  でもさすがに、起きてから何も食べずだったので、ふたり同時にお腹が鳴ったことで、起きることに。  俺は碧がシャワーを浴びている間に、簡単に朝昼兼用の煮込みうどんを作る。 「…うわー、美味しそうですね」  ダイニングテーブルに二人分のうどんを置いたと同時に、碧がタオルを肩にかけた状態で近づいてきた。  濡れたままの綺麗な黒髪。近づいたことでシャンプーの香りが鼻を強く霞める。  火照って、ほんのり赤い頬。  碧は気づいてないかもしれないけど、こんなことでも欲情してしまうんだからな。  さっきまで、愛し合ったのに、ご飯なんて食べないでもう一度ベットに碧を押し倒したい――。 「――千秋さん?大丈夫ですか?」  ぼーっと立ったままの俺に、いつの間にか椅子に座っていた碧が心配そうに見ている。  さすがにここでまたやっても、碧はお腹すいてるだろうし。  碧は病み上がりだった。  俺は碧に笑顔を向け、自分も椅子に座り、うどんを食べる。 「美味しいです!さすが、千秋さん!」  綺麗な箸使いで、うどんを啜ってる碧。  うどんを吸い込んでる真っ赤な唇にしか、目が入らない。  ――キスしたい…。  それしか今の俺の頭にはない。  しっかりしろ!!  男とはいえ、そんなすぐ欲情してたら、碧だって俺のこと嫌いになる。  それだけは、絶対阻止しなければ。  ずっとずっと片思いしていた相手と同じ気持ちなんだ。  こんな幸せマックスな状態がいつまでも続くように――― 「―――俺、一生碧と一緒にいたい……」 「…えっ!?え?千秋さん…今なんて…」  心の中で思っていたことを、無意識に言葉にしていたみたいで、前に座ってる碧の顔が一気に真っ赤になっている。

ともだちにシェアしよう!