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邪魔者二人
「来るときは連絡ぐらいして欲しいんだけど」
眉をしかめ不機嫌さをアピールする。
「まぁまぁ。気にしない。気にしない。碧くんとのラブラブを邪魔されたからって、不機嫌にならないの」
「えっ!碧くんって、千秋の好きな…?一緒に住んでるの?」
「そうだよ~。ふたりラブラブな日々を過ごしてるんだよ。そういえば、悠花は碧くんに会うのは初めてか。すごくかわいい子だよ」
「えぇー!!??そうなのっ!!??何それ、めっちゃいい……」
姉さんが一緒に来ていた悠花の手を引っ張り中へ勝手に入る。
そういえば…悠花って――
「あ~そういえば、悠花、男同士の絡みが好きだったんだっけ?」
「そう!まさか、そんな身近に萌えの要素があったなってびっくり!」
テンション高いふたりの声にうんざりする。
俺は前二人にため息を吐く。
「あっ、でもそんなことなら、あんまり長居しちゃいけないね。碧くんに挨拶して私帰ろうかな~」
急に立ち止まった悠花は、そう呟く。
姉さんも悠花みたいに空気の読めるやつだったら、いいんだけどな。
「あおくんっ!やっほー!」
「彩さん」
ダイニングテーブルの椅子に座ってる碧に、後ろから抱きついてる。
はぁー。イライラする。
「今日はね、碧くんに渡したいものがあったの!」
「あっ!これ!」
姉さんは碧くんにしか見えないように、渡したいものを渡す。
碧は抱きつかれて戸惑っていたのが嘘みたいに、一気に笑顔になっている。
「ふふっ。喜んでもらえてよかったー!」
「彩さん、わざわざありがとうございますっ!」
「いいのよいいのよ♪」
「――千秋、顔怖いぞ」
碧に引っ付いている姉さんを睨んでいた俺の横で、小さく囁いた悠花。
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