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体中を散らばる赤い花びら
千秋さんの温かい胸の中に顔をうずめる。
着痩せする千秋さんの筋肉を服越しに感じる。
もっと温かくて居心地のよい胸の中に顔を埋 めていたい…。
徐ろに千秋さんの背中に腕を回す。
レモンの爽やかな香りに、くらくらする。
千秋さんの顔は俺の肩に乗せている。
目を瞑った、真っ暗な視界。
鼻を霞めるレモンの香り。温かい胸の中。俺の背中に回された千秋さんの腕。
全てが愛おしくて、幸せすぎる――。
――ふぅ。
「………ひゃっあっ!」
いきなり千秋さんが、俺の耳に向かって息を吹きかける。
温かい息が耳の穴に入り、びっくりした俺は、変な声が出てしまった。
クスクスと笑う千秋さんの声が耳元で聞こえる。
「碧、ほんと耳弱いよね」
千秋さんの声が耳元で聞こえ、身震いした。
もうこの甘い雰囲気の時の、千秋さんの声は反則すぎるよ……。
俺はゆっくりと、千秋さんの胸から離れようとするが、千秋さんは一層、強く抱きしめて離れることができない。
「――あぁー。もう我慢できない…。今朝ヤったばっかだし…碧、病み上がりだし…碧にとっては辛いかも…。でも、俺もう我慢できない……」
熱の篭った少し掠れた声で囁いた千秋さん。
「……いいですよ。俺もう大丈夫です。それに……俺も千秋さんとえっちしたいです……」
胸に顔を埋めたまま、小さく呟いた。
思いのほか、曇った声だったが、千秋さんにはバッチリ聞こえてたみたいで、その場にゆっくり押し倒され、俺の上に馬乗りになる。
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