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花火大会りんご飴の情欲
「せっかく来たから、なんか食べよう。何食べる?」
「それじゃあ――」
一気に顔を上げて笑顔になった。
屋台で、焼きそばとイカ焼き、りんご飴を買って、人の少ない場所に座った俺たち。
「やっぱりお祭りっていったら、イカ焼きですよね~」
嬉しそうにイカ焼きを頬張っている。
口元に醤油をつけている碧。
ついてることに気づいてないなー。
「――碧」
「ふぁい?」
いか焼きを口にくわえたまま此方を見た。
そんな子供っぽい表情も可愛い。
俺は親指で碧の口元についてる醤油を優しく拭きとる。
そしてそのまま醤油のついた自分の親指を舐めた。
「ついてたよ」
いか焼きをくわえたまま固まっている碧。
徐々に顔も赤くなり、瞬きを何回もしてる。
「……うわわ…千秋さん、そんなの反則です…」
いか焼きを口から離した碧は、俯いた。
俯いていても真っ赤な顔は見える。
もうかわいい。
ほんとに碧と過ごすようになってから、かわいいしか言葉が出てこないけど、本当に可愛いから仕方ない。
俺はにやけつつ、碧の頭を優しく撫で、そのまま横髪から見える耳朶も指先で撫でる。
「うわぁっ!」
体をビクッと震わせた碧。撫でていた耳まで一気に赤くなる。
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