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お揃いキスマークと突然の告白
真中比呂side
何故かこいつ――。俺の学校の生徒である黒谷海人と花火大会に来てしまった。
事の発端は、夏休みに入る前の社会科の小テスト。
いつも付き纏ってきて、しまいには放課後、課外までしないといけないハメになった。
そんな放課後の課外の時に、黒谷が「今度の小テストで100点取ったら、俺と一緒に花火大会に行こう」と言いだしたのだ。
教師と生徒。
ふたりで出掛けるなんて、あってはならないこと。
俺は断りの言葉を入れた。
だが黒谷は「毎日勉強頑張っているオレへのご褒美だと思ってさ~」としつこく言ってくるので、渋々了承したのだが……。
何が楽しくて、男でしかも生徒と、休日に会わないといけないんだよ。
「比呂センセーは何食べます?」
「名前で呼ぶな」
「いいじゃないですか。ちゃんとセンセーって呼んでるんだしー」
「そういう問題では……」
「あ、たこ焼き食べませんか?」
そう言い俺の手を無理やり引っ張って、たこ焼きの屋台へと向かう。
はぁー。
こいつも、何でこんな男でしかも教師となんかと行きたいんだが理解に苦しむ。
黒谷海人。3年A組の生徒。
成績はまずまず。良くも悪くもない中間辺り。
容姿はかなり整っている、だろう。
校則にはそんなに厳しくない日高高校。
黒谷はキャラメル色のかなり明るい髪色で、少し長めの髪はお洒落なパーマなんかも当ててやがる。
身長も高く。180は超えているだろう。
手足も長く完璧すぎるやつ。
そんな男を女はほっとくわけもなく、毎日いろいろな女とよろしくやっているという噂だ。
そんなやつが何故、俺と花火大会に行きたいのか謎としか言い様がない。
それこそよろしくやっている女と行った方がいいと思う。
「すげぇー。いろいろな味あるっすよ。比呂センセーは何食べたいっすか?」
「…別になんでも」
「じゃあ、センセーの好きそうな明太マヨにしよう」
そう言い明太マヨのたこ焼きを注文した黒谷。
っておい。何で、こいつ俺が明太子好きなこと知ってるんだ。
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