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お揃いキスマークと突然の告白

「オレ、センセーのことならなんでも知ってるから」  パチっとウィンクまでした黒谷は、自分の財布からお金を出した。 「ちょっと、金なら俺が払う」  一応、俺のほうがかなり年上だし。  生徒に払わせるわけにはいかない。 「気にしないでください。ほらどっか座れるところで食べましょう」  財布を出すのに手間取っていた俺の手を握り、あっという間に金を払ってたこ焼きを受け取った黒谷は歩き出す。 「おい。手を握るのはやめろ」  花火大会。日高からもそんなに遠くない場所。  何処で誰に会うかわからない。 「もう。センセーったらケチなんだから」  そう不満げな声を出しながらも、握っていた俺の手を離した。 「あっちとか、人気ないし。そこで食べましょう」 「…あぁ」  俺は黒谷には聞こえないようにため息を吐いた。  ふと視線を周りに向けたことで、ある人物が視界に入った。  その人物も俺に気づいたのか、驚いた顔をしている。  挨拶ぐらいはしとくか。  俺はその人物……碧の元へと近づいた。 「えぇっ!?センセーどこ行くの?」  慌てたような声を出している黒谷も俺の後をついてきてる。  何気ない感じで手を挙げ、碧に挨拶した。  隣には、高宮もいる。  そっか。ふたり、上手くいったんだなー。  ふたりから幸せラブラブピンクオーラが漂っている。  俺が手助けしたからだけど、やっぱり辛いな…。  碧の首筋には、赤い花が散らばっているし、高宮の首筋にも、薄いが赤い花がポツンと一つ咲いている。  高宮のやつは、碧が付けたんだもんな…。  ふたりの首筋を見ていた俺は、いきなり入ってきた黒谷の声で我に返った。  何故か不機嫌そうに、碧の顔を見ている。  いつもヘラヘラ笑っている黒谷には考えられない表情だ。

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