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第2話
「やっぱり、全メニューだけじゃなくて、新作パフェも要求した方が良かったかな」
降旗は自身のバイト先の店長・甘利の「一生の一生のお願い」を聞くべく、日曜日の朝、ヴィナーヤカから程近い緑道公園へ来ていた。
『フリーマーケットMAP』
と書かれた紙を受付でもらい、それを片手に甘利が出店している場所を探す。甘利はパフェを作る傍ら、旅先で買った珍しいものや引き取り手のないものを集めてはフリーマーケットに参加にしていた。
「まきまきもいらなかったり、自分では使わなくなったものがあったら、持ってきてくれたら良いからね。あまり高くは売れないけど、お礼はするしさ」
と言われたこともある。
「本当に捨てるしかないこともあるけど、意外と『使えなくなった』って思うのは自分だけっていう場合が殆どだしね」
ストレス解消法は断捨離。そんなところのある降旗は黙ってしまった。
「まぁ、良いところはあるんだよな。まきまきなんて呼んだり、ちょっと面倒なところはあるけど、真面目な時は割とかっこいいし、作ってくれるパフェはちゃんと全部美味いし」
降旗は言い訳のように呟くと、甘利の店の前で足を止めた。
木の幹に立てかけてあるガネーシャの描かれたスケッチブック。置かれているものはどこから手に入れたのか分からないバンダナや秋冬用の衣類を皮切りに鏡や食器のような実用品。誰が書いたか分からない旅行記や楽譜の類。
統一感は最低限ありつつも、やや乱雑に置かれていた。
「あ、来てくれたやね」
甘利は何故か、関西弁で降旗へ声をかける。今日の甘利は朱色が多めの7色のタイダイ染めのTシャツに白いペンキを散らしたような黒のサルエル風のパンツで、普段はつけない臙脂のストールと木製のブレスレットを2つ、3つ程つけていた。
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