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第2話

……疲れた。 圭一郎はため息をつきながら合鍵で自宅に入り、足音を立てずに寝室へと向かった。電気が消された部屋の暗さに、次第に目が慣れていく中、セミダブルベッドで丸まって眠っている青年の姿を確認する。 リョウはすやすやと寝息を立てていた。 ツーブロックの短髪はダークブラウン色に染められ、毛先はゆるやかにうねり、ところどころ奔放に跳ねていた。アイドル、あるいは若手俳優だと言われても頷ける端整で華やかな顔立ちは、眠っているとやや幼く見え、庇護欲をくすぐられる。半開きになった口の端からはだらしなく涎が垂れており、圭一郎は声を押し殺して笑った。 ひと回り以上歳が離れた若い恋人とは、付き合って2年半以上、都内のこのマンションで一緒に暮らすようになって半年ほどになる。 洋食屋でコックとして働いている彼と公務員の自分は、休みがほとんど合わないものの、どちらも夜には家にいるので、十分にコミュニケーションは取れているし、仲が良かった。 歳の差があるためか、喧嘩はまったくしない。ぴょんぴょんと跳ねた寝癖のように、いささか好き勝手する傾向があるリョウを、圭一郎は仕方がないなと苦笑しながらも受け容れていた。それでも生来のお節介がはたらき、小言めいたことを口にする時もある。リョウはそれを聞き入れたり、聞き入れなかったりするわけだが、機嫌を損ねるようなことはなく、明るいままでいてくれる。だから、昔の恋人と交際していた頃のように、ぎゃんぎゃんと犬の吠え合いのような口論に発展することはなかった。 自分ができた大人だとは、これっぽっちも思っていない。けれども、能天気だが広量な年下の恋人を前にすると、年上としてのプライドが刺激され、見栄をはることはないが、心に余裕を持とうと思わされる。お陰でリョウと付き合ってからは、一度も激昂していない。非常に良いことだと思う。 ……もっとも、セックスの最中は、年上だの余裕だの何だのとは言っていられないが。

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