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第7話

リョウはひどく驚いていた。身体が岩のようにカチコチに強ばっている。が、構うことはなかった。彼の口腔と深くまじわり、下品な水音を響かせながら、細い四肢を性急にまさぐる。漏れ出る鼻息は震え、乱れていた。 「んんっ……ふぁ、ッ……!」 「……、リョウ……」 「……ぷはっ……あ、あっ! ちょっ、けーくん……!」 圭一郎はリョウの小さな尻を揉みしだいた。やや硬い弾力が手のひらに伝わると、爆ぜて広がった体内の劣情が色濃くなり、性器が反り勃ち、ひくついた。 1週間以上、リョウを抱いていなかった。年度末の繁忙期につき、連日深夜の帰宅を強いられ、先週末は休日出勤もした。そのせいで時間も体力もなく、彼と同じベッドで就寝していながら、妖しい空気を醸し出すことすらなかった。健全であり不健全で、純粋であり不純な夜を何日も過ごしていたのだ。 そのためか、異様なまでに興奮している。発情期の動物のごとく荒々しい息を吐き、裸体を火照らせ、リョウの腹部に棹を擦りつける有り様だった。 齢38、毎年の健康診断で何かしらの項目に引っかかってしまうのが密かな悩みであるしがない中年男性は、年下の可愛い恋人を前にすると、意馬心猿のエロ親父になりがちだった。 年甲斐のない己を恥じるべきなのだろう。けれども、恥じて自制してしまうのも、どうにも勿体ない。それに恋人は若く、盛る年頃で、性行為が大好きときた。大人げなく相手を求めても、咎められることはないはずだ。 右手を臀部の割れ目に入れ、出口にも入り口にもなり得るそこにぬるりと触れる。リョウは高い声をあげ、背中をしならせた。 「ああっ……け、けーくん……」 「嫌か?」 戸惑いとかすかな恍惚を浮かびあがらせた表情で見つめられる。それがまた、情欲を煽ってくる。リョウは潤んだ瞳を忙しなく転がし、「明日も、仕事だよ?」と言うが、やんわりと拒むというよりは、「本当にいいの?」とこちらの意思を確認しているようだった。理性と欲のあいだでゆらゆらと揺れながらも、欲に沈んでしまいたいのだろう。 それなら、彼の肩を掴んで、一緒に身を投じてしまえばいい。どこまでも深く、易々と抜け出せないところまで。 「構わない……お前が欲しい」 「……ッ!」 リョウは分かりやすく歓喜に身を震わせた。そして切なげな表情を浮かべ、圭一郎の唇に吸いついた。舌と吐息と唾液を情熱的に交わらせながら、圭一郎はリョウの窄まりを指で揉んだ。それからシャワーで全身の泡を洗い流すと、腰が砕け、立っていられないと言わんばかりにこちらに凭れてくるリョウの身体を反転させ、壁に預けた。

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