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☆2

滅多に怒らない直紀が怒ってる。 俺は、仕方なく・・・眠い体にムチを打って 上半身をちょっとだけ 起こした。 『えと・・・なに・・・?』 俺が起きたのを確認すると、直紀は やっと踏んでいた足をおろし 鬼の形相から一転、今度は恐ろしく 冷徹な表情に変わり・・・ 『もう耐えられない。出てってくれ。』 と、 寝起きの俺にも分かるようにだろう、 はっきりくっきりとした口調で言った。 『え・・・・・?』 出てってくれ・・・? 言われた言葉は、とてもよく聞こえたけれど それを理解するには、まだ頭が 働いていなくて・・・・・。 ―― 出てってくれ。 えーと。それは つまり。 ・・・つまり、出てけ・・・って事? 『ん?』 ・・・出てく? 『誰が?』 『・・・お前!俺は もう耐えられない!』 ・・・耐えられない。 って、それ、さっきも聞いたけど。 どういう事・・・・? んー・・・ んー・・・ んー・・・・・・ ってか、眠い・・・・・ 襲いくる眠気に勝てず、大あくびが出た。 緊張感のない俺に、痺れを切らしたらしい直紀は・・・・無理やり俺の腕を引っ張って、布団から引きずり出す。 そして、なにがなんだか分からないまま 俺は・・・外に放り出された。 体ひとつで。

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