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☆3

『え?』 あれ・・・? これって・・夢じゃないよな・・・。 さっきまで 布団の中で ぬくぬく 寝ていたのに。 なんで、こんなことになったんだろ? 『―― さ、寒っっ!』 自分のおかれた状況が分かってくると、 急に冬の冷え込みが身に染みてくる。 さすがに、パジャマ代わりに着ていた スウェットの上下だけじゃ・・・ この寒さには耐えられない。 とりあえず、今、この状況で、 頼れるのは・・・・直紀しかいない。 俺は、たった今 放り出された部屋の 玄関のドアを叩く。 ドンドン。 『ねー、直紀~。開ーけーてー。』 ・・・・・返事はない。 ドンドン。 『ねー、とりあえず なんか 服ちょーだーい。あと、カバンもあると 助かるんだけどー。ねー、聞いてるー?』 ―― シーン。  うーん。 まずいなー。 『はっくしゅん!』 寒い・・・・寒いんだけど! ドンドンドンドン!! 『なーおーきーっ!』 ドンドンドンドンドンドン!! 『さーむーいー!なーおーきーっ!』 戻りたい・・・! あの、あったかい布団の中に・・・っ! ドンドンドンドンドンドンドンドン!! 『なおー!・・はーっくしゅん!くしゅん!』 『うるさいっ!!』 ――と、漸くドアが開いて、 コートとカバンが 俺めがけて飛んできた。 『近所迷惑!早く出てけっ!』 『あ、ありがとー。あの、ついでに靴も・・・』 直紀は、それはそれは 呆れた顔をして それでも俺の愛用のスニーカーを 手にして・・・やっぱり投げつけてきた。 『これで いいかっ!?』 『うん・・・あれ。スマホがない。』 カバンの中を漁るけど、見当たらない。 充電してたっけ? もう1回 頼むのも悪いかな・・・と、 思いながらも直紀を見上げると・・・ 『あれは俺が買って、俺が月々の支払い もしてるんだから俺のモンだ。』 『え・・・・。』 『じゃあな!もう俺は出ないからな!』 俺に向かって、ビシリと指を指して 直紀は背を向ける。 そして、 バタンッ!と、乱暴にドアが閉じられた。

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