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☆4
ガチャン!
と鍵のかかる音がして・・・
直紀の足音が遠ざかっていく。
『・・・・・・』
そっか・・・。
スマホは・・ダメなのか。
そっか・・・。
俺が買ったモンじゃないもんな。
そっか・・・・・・。
閉じられたドアを、しばらく見つめて
いたけれど。
もう、ドアを どんだけ叩いても
直紀は開けてくれないだろう。
そんな気がした。
『うーん。困ったな・・・。』
―― どこに行こうか。
スマホがないと、誰にも連絡出来ない。
まぁ、こんな時、行けそうな場所は・・・
あそこしかないな。
コートを羽織り、スニーカーを履いて
歩き出す・・・が。
『うおぅ!素足にスニーカーって・・・・』
気色悪っ・・・・!
まぁ・・・、でも。
裸足よりは全然マシだな。
ああ、切ない。
『・・・・・・さむ・・・』
最後にもう1度、振り返って
玄関ドアを見つめて・・
直紀と暮らした日々と
ぬくぬくの布団に思いを馳せ、
アパートを後にした。
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