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☆6
シンの家に着いて、すぐにシンのスマホを
借りて・・・ファストフード店と牛丼屋に
バイトを辞める旨を連絡した。
正直、せこせこと忙しい店で働くのは
しんどかった。
あのバーの仕事は、ゆったりしていて
お酒も飲めるし、一晩だけの相手も簡単に
見つけられるし・・・、グータラな俺には
最適の仕事だったのだ。
シンに聞けば、
ウェイターは随時募集してるから、
経験者の俺なら すぐに
雇ってもらえるだろうって事で 一安心。
シンは、用事があったらしく俺を連れてきて
しばらくして出かけていった。
当面、おいてもらう条件として
部屋の掃除を言い渡されたのだが・・・・
・・・めんどくさ。
だってさ。
つい、何時間か前は・・・
1日中 寝ていようなんて思ってたし・・・
歩き回って、寒かったし 疲れたし。
・・・・・・・・・・・。
『寝るか。』
一応、テーブルにあった散乱したゴミだけ
適当に ゴミ袋に放り込んで寝室へ行き、
布団に潜り込む。
何度か泊まりにきたし、勝手にベッドを
使うのも抵抗はない。
あー・・・・・・・あったか~い。
気持ちいい・・・・幸せ。
安心したら、くぅ~とお腹が
鳴ったけど・・・・
今は、空腹より、睡眠。
俺、マジ 冬は冬眠できる気がする・・・。
ぬくぬくと温もってきて、体から
力が抜ける。
そのまま、眠りの波に身を任せようと
・・・した時、「ただいまー」と、
シンが帰ってきてしまった。
『あれ?おらん・・・って、まさか!』
ドタドタと歩く音。
うるさいな~、
と無理やり目を閉じるが、
『あ!やっぱり寝とる!』
寝室に入って来てしまった。
『う~・・・寝る、寝るから・・・』
『寝てもいいけど昼メシ食べようよ。』
『メシ・・・・』
『買ってきたからさ。ヒナのも。』
『メシ・・・・。』
今度は、くぅ~なんて可愛いモンじゃなく
ぐぎゅるるるる~って、とんでもない音で
俺のお腹が「なんか食え」と切望する。
そうか・・・腹、減ってんだな。
『ありがと・・・・食べる・・。』
ついさっきまで、寝ることが最大の欲求
だったのに、お腹が空いたって認識すると
途端に猛烈に何かを食べたくなる。
人間て・・・ダメな生き物だよなぁ・・・。
いや、俺がダメなのか。
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