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☆7
シンが買ってきたのは・・・・・牛丼。
よりにもよって、牛丼。
さっき別れたばかりの直紀のために
嫌々ながらも頑張ってたバイトじゃん。
色々、思い出すじゃないか。
『シーンー・・・。』
『いや~、はは。
ヒナが 牛丼の話しするから食べたく
なってさぁ。実は、さっき会った時も
昼メシ買いに出てたんよ~。』
『あ、そう。』
まあ、奢ってもらって、文句は言えない。
お腹が空いてたのもあって、
黙々と牛丼を食べて、シンが淹れてくれた
あったかい緑茶を飲んでいると・・・
聞きたいのをガマンしてたのだろうシンが
身を乗り出して聞いてくる。
『で?で? 何があったん?』
『え・・・ああ。それが よく分かんなくて。』
朝、叩き起こされて、突然 出ていけ、
と言われた・・・・としか言えない。
『ふーん。思い当たる事はないん?』
『別に?』
あ、ダメだ。
お腹いっぱいになったら、眠くなってきた。
何やら考えてくれてるシンには悪いけど・・
『ね。俺、もう寝ていい?』
そう言うと、シンはビックリしたように
俺を見た。
『えー!まだ話してるのにぃ?』
『だって、眠い・・・。』
『もう!グータラは相変わらずやな。』
『うん・・・変わんないね、それは。』
グータラ = 俺。だからね。
シンは、うーんと腕を組む。
俺を寝かせる気はないらしい。
『他になんか言われたん?』
『ん・・・? もう、堪えられない。』
『堪えられない・・・?あぁ!』
そこで、シンが指をぱちんと鳴らした。
何か思いついたらしく、矢継ぎ早に質問が
飛んでくる。
『えっと、掃除はしてたのは?』
『直紀。』
『洗濯は?』
『直紀。』
『・・・家賃は?』
『直紀。』
『エッチは・・・?』
『あぁ・・・それは、最近 シてくれないから・・
ちょっとした知り合いと・・・・。』
シンは、『はあ?』と呆れ、はあーと ため息をついて、俺を信じられないという風に見て、
もう1度 大きくため息をつく。
『ヒナ・・・・。思い当たる事が多すぎなんだけど。浮気とかさーっ!1番ダメなヤツ!!
ヒナが悪い!ヒナが悪いよ!』
『え・・・俺が悪いの?
でも、最後まではシてないよ?』
『そういう問題じゃないやろ!
養ってもらっとる分際で!』
シンが、キーッ!と頭を掻きむしる。
そして、またしても大きくため息を吐くと
俺をビシッと指差した。
『ヒナね・・・それは、同棲じゃなくて
゙寄生″っていうんだよ?』
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