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☆13

――― 翌日。 午前中には帰ろう・・・と思っていたのに、 ダルくてダルくて、動きたくなくて ダラダラと寝ていたせいで、 結局、バーの出勤時間まで居座ってしまった。 『ヒナちゃん、またね。』 草壁さんは、そんな俺を 店の前まで 送ってくれた。 『ありがとうございました。』 『いいよ。いつでも連絡してね。 ・・・待ってるから。』 『あー、・・・・はい。』 お辞儀をして、車が見えなくなるまで 見送る。 居心地は よかった。 草壁さんは、俺を甘やかしたくて仕方がない みたいで、俺は ほとんどベッドの上で 甲斐甲斐しくお世話をされていた。 ホントになんにもしなくても、全部 草壁さんがしてくれた。 色んな話もしたけど・・・ 草壁さんは思ったとおり かなりのドS。 変わった性癖の持ち主だった。 『僕はね・・、気持ちよくなりすぎて、 涙や鼻水やよだれでグシャグシャになって 白目むいたりしてる顔が大好きなんだ。』 なんて、楽しそうに話してたっけ。 ―― 毎回、そんなセックスしてたら、 身がもたないなぁ・・・。 あの追いつめられるような、 頭おかしくなるくらい苦しい快楽も 嫌いじゃないけど・・・・ 俺がホントに好きなのは・・・ ただ ひたすらに俺を求めて、 余裕なんてないくらい欲しがってくれて、 でも、すごく優しくて・・・ そんな・・・・ 満たされるような・・・セックス。 そんな事を考えていたら、 頭に浮かんだのは・・・ 直紀の顔。 『・・・・・っ!』 なんで・・・ なんで、直紀が 出てくんの? なんでだろう。 このところ、なにかと直紀を思い出す 事が増えてきた。 ・・・・気がする。 もう、1ヶ月も会ってない。 会わなくても、全然 平気だったのに。 直紀・・・・。 優しい笑顔。声。 髪をかきあげる仕草。 目を閉じると、まぶたの奥に 直紀の穏やかな笑顔が浮かぶ。 会えなくったって、平気・・・・ ・・・・平気・・・・だった? 『・・・・・・・・っ』 ―― いけない。 これ以上・・・考えたら、いけない。 俺は また、溢れ出しそうな気持ちに フタをして 急いで バーの裏口に走った。

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