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☆17
『無理やり・・・じゃない。離して。』
やや、キツめに言うと、
直紀は、はっと俺を見て・・・掴んでいた
手を そっと離した。
『ごめん。それなら いいんだ。』
『・・・・ごゆっくり。』
そそくさと その場を去る。
直紀の視線が、いつまでも俺の背中に
刺さっている気がして・・居たたまれなくて
ひとまず休憩室へ逃げた。
『はぁ・・・』
『ヒナ!大丈夫?』
様子がおかしかっただろう俺を
心配してか、シンがすぐに追いかけてきた。
『シン・・・・・どうしよう・・俺・・・・』
『なんか言われたんっ?』
俺は、草壁さんの話と、直紀との
一部始終をシンに話した。
『うーん・・・草壁さんの言うことも一理
あるっちゃあるかも、だけど・・・』
『うん・・・・』
『でも俺は・・・直紀さんは、ヒナに
会いに来たんだと・・・思いたい。』
『・・・・なんで。』
『だって、よく考えなくてもヒナがここに
戻ってくんのは予想出来るやん?
その、もうあんまり目立たん手首の傷
だって、気づいて心配してくれたんやし・・・。』
『心配?』
『だって!無理やりか?なんて・・・
心配やないと聞かないよ。』
『そっかな~。』
『そうだよ。』
『・・・・・・・・。』
まぁ・・・なんも解決してないけど・・・
シンと話してたら、少し気持ちが
落ち着いてきた。
『ありがと。シン。戻ろっか。』
『うん。マスターに怒られちゃうね。』
先に、休憩室を出ようとした時、
シンに呼び止められた。
『ヒナ。最後に答えを出すのはヒナだよ。
誰かの言葉に惑わされんように・・・
自分の気持ちに正直にね。』
『え・・・・・?』
『間違えちゃダメだよ。誰を好きなのか。
誰と一緒にいたいのか。』
そう言うと、俺より先にシンは出ていった。
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