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☆18
『・・・・・・・・。』
間違えちゃダメ?
誰を好きなのか・・・
誰と・・・一緒にいたいのか・・・
俺は・・・・・・
『分かんない・・・。』
直紀とは、もう終わってるし、
草壁さんとは、始まってもいない。
仮に・・・仮に、直紀が
俺に会いに来たんだとして
俺は、どうしたいんだろうか。
『・・・あー、もう・・・・っ。』
今は混乱してて、
冷静に考えられそうにない。
とりあえず、戻らなきゃ。
マスターに怒られる前に。
『よし。』
気合いを入れて、ホールに入る。
中を見渡すと、直紀も草壁さんも
席に座ってまだ飲んでいた。
草壁さんは ともかく、直紀がいるのを
見たら 何故かホッとする自分がいて。
なにかを期待しているような
そんな自分がイヤで、
その後の、2人の接客は
頑として俺は受け入れず、全部
シンに代わってもらった。
結局、直紀も店が終わる時間まで
誰かと消える事はなかった。
*****
閉店後。
私服に着替え、ホールに戻ると、
もう直紀の姿はなかった。
やっぱり・・・。
俺に会いに来たんじゃなかったんだ。
自分の浅はかさに胸が苦しくなった。
そうして、落ち込んでいると、すぐに
草壁さんが 俺の元にやって来た。
『ヒナちゃん。』
『草壁さん・・・』
『さぁ、行こうか。』
考える隙も与えられず、肩を抱かれ 歩き出す。
ドアを開け、外に出たところで
『陽向。』
と、直紀の声がした。
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