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☆19

入り口のドアのすぐ横に直紀が立っていた。 『直・・・・、――っ!』 『行くよ、ヒナちゃん。』 草壁さんは、まるで見えてないかのように、 直紀の存在を無視して、俺を強引に歩かせる。 肩に置かれた手は、力が増して 指が食い込んでいて・・・痛い。 『待って。』 直紀が追いかけてきて、俺の手を捕まえた。 そのまま、自分の方に引き寄せようと したけれど、草壁さんは俺を離さない。 両側から引っ張られて、思わず、 『痛・・・・っ!』 と、声が出てしまう。 その声を聞いて、直紀は慌ててパッと 手を離してくれた。 草壁さんも立ち止まった。 手は そのまま・・・ 離さないままだったけれど 。 『陽向、話がしたい。』 『・・・・・・・・・。』 『少し時間をくれないか。』 『・・・・・・・・・。』 話・・・・・。 話って、なに・・・? どうしよう・・・ どうしよう・・・・・。 『君は、ヒナちゃんの元カレだよね?』 直紀の言葉に、どうしようかと 迷っていると、草壁さんが割り込んできた。 『今さら、なんの用?』

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