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☆22
『草壁さん・・・、俺・・・俺・・・・』
なかなか言葉が出てこない。
キュッと目をつぶり、心を落ち着かせる。
―――言わなきゃ・・・
ちゃんと、自分の気持ちを。
『あの・・・会って間もない俺なんかの事、
色々 考えてくれて・・・。
・・・すごく、すごく嬉しい。』
そこで一旦、言葉を切って、
草壁さんの方へ、1歩、踏み出す。
――― 伝えなきゃ・・・
自分が、出した答えを。
俺が・・・誰と生きていきたいのかを。
『ありがとう・・・ございます。
・・・ホントに・・ありがとう。』
『ヒナちゃん・・・・・』
『・・・・・・・・・・でも、
俺・・・・・・俺は、
・・・直紀と 居たい。
だから・・・
草壁さんの所には行けません。』
ありったけの感謝と謝罪の想いを込めて、
丁寧に頭を下げる。
そして・・・もう敢えて草壁さんの顔は
見ないで、くるり と背を向けた。
『直紀・・・・っ!』
両手を広げて待っている、愛しい人の元へ走る。
走って・・・勢いよく 腕の中に 飛び込んだ。
『直紀・・・・っ。』
『・・・・・陽向・・・。』
1ヶ月ぶりに触れた直紀の体。
強く強く抱きしめられて、
直紀の香りに包まれて
自分の中の
足りなかったものが満たされていく。
いかに自分が渇いていたのか・・・
どれだけ 空っぽだったのか・・・
思い知らされた気がした。
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