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グータラなキミと☆11

誰だよ、アイツ・・・! 陽向の肩を抱いて、何やら親密そうに 話している2人。 すると、陽向が急に俯いて、 悲しそうな顔をする。 何だ!? 何かイヤな事でも言われたのか!? 文句を言ってやろうか、と 立ち上がろうとした時、マスターの 『ハイボール出来たよ』の一言で、 男は陽向から離れて、カウンターへと 戻っていった。 その後の陽向は、俺のハイボールを 何故か他のウェイターに運ばせようと 揉めていたけれど、諦めたように 俺のテーブルに歩いてきた。 『お待たせしました。』 俺の方は見ない。 わざとらしい、その仕草。 でも、顔には営業スマイルが貼りつけて あって、ちょっとイライラしてしまう。 陽向がグラスを置いた その時、 袖から覗く手首が見えた。 そこには、うっすらと縛られていたような 跡があって・・・思わず引っ込んでいく手を、 ガシッと掴んでしまった。 ビックリして咄嗟に振り払おうと する陽向。 だけど自分でも、思いの外、強く 握ってしまっていたから 手が離れる事はなかった。 『あ・・・ごめん。驚かせて。 でも・・・この手首、どうしたの?』 陽向が、自分の手首を見る。 『あ・・・・・・・。』 ばつが悪そうな顔で目を反らす。 『これは・・・・』 『無理やり?それとも・・・合意のうえ?』 『・・・・・・・・・・・えと・・・・』 困ったように言葉を濁される。 その顔を見て、ハッとした。 言いにくいのか、 ただ単に 言いたくないのか 俺に言う必要なんてないって 思っているのか。 分からないけれど。 俺の問いに、明らかに戸惑っていた。

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