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グータラなキミと☆14
『今さら、なんの用?』
男に、小馬鹿にしたような口調で言われ、
カッとなる。
・・・なんで、お前にそんな事
言われなきゃなんねーんだよ・・・!
『あんたには関係ない。』
俺も、努めて 冷静なふりをして
負けじと言い返す。
2人の間に、バチバチと音を立て、
火花が散っている・・・気がする。
男は不敵な笑みを浮かべたまま、
またしても笑みの奥底に
敵意をむき出しにして詰め寄ってくる。
『関係ない?なんで そう思うの?』
『あんた、陽向とつきあってる訳じゃない
だろう。陽向を見てたら分かる。』
ーー そう。見てたら分かる。
絶対、コイツは、
陽向の好きなタイプではない!
もし、関係があったとしても
それは一晩だけの遊びのはずだっ!!
『へぇ・・・・・。』
そこで、男は ずっと肩を抱いていた
腕を下ろした。1歩さがって、俺の顔を
じっと見つめてくる。
その目は、人を値踏みするような物で・・・
バカにされてる感が半端ない。
ムカつくなー、コイツ。
すると、男は・・・陽向に、
そして俺に向けて、
言い聞かすように口を開く。
『ヒナちゃん。前も言ったけど・・・僕のところにおいで。何もしなくていい。いつでも、好きなだけ、いていいから。
欲しいものは僕が・・・全部あげる。』
『草壁さん・・・。』
それは・・・おそらく。
グータラな陽向にとっては、理想の生活だ。
美味しい物をぶら下げて、
気を引こうだなんて・・・常識のある
大人の男がする事じゃないだろ!
負けない・・・!
コイツには絶対、負けないっ!!
『陽向。また、一緒に暮らそう。
俺に・・・少しでも好きって気持ちが
残ってるなら、俺を選んで欲しい。』
『え・・・・・?』
『離れてみて・・・失って初めて気づいた。
俺から突き放しておいて、勝手なのは
分かってる。でも・・・側にいて欲しい。』
『直紀・・・・・。』
揺れる陽向の瞳。
迷っている。
迷ってるって事は・・・
俺にも勝ち目は まだ残ってるって事だ。
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