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グータラなキミと☆17

『あの・・・会って間もない俺なんかの事、 色々 考えてくれて・・・。 ・・・すごく、すごく嬉しい。』 そこで一旦、言葉を切って、 草壁の方へ、1歩、踏み出す陽向。 ――― 見たくない・・・。 俺ではなく、 他の誰かを選んだ事実を。 陽向が草壁と生きていくって現実を。 でも。 覚悟を決めるって・・・ どんな答えでも受け止めるって 俺は・・・。 だから・・・ せめて、陽向の顔を、声を しっかりと 焼きつけておこう。 『・・・ホントに・・ありがとう。 ・・・でも、俺・・・、 ・・・・俺は、・・・直紀と居たい。 だから・・・草壁さんの所には行けません。』 そう一気に言うと、草壁に 丁寧に頭を下げる。 え・・・・? 今、なんて・・・? そして・・・頭を上げた陽向は、 草壁には目もくれず、 一直線に俺の元へと走ってきた。 『直紀・・・・っ!』 ポカンと両手を広げて待っていた、 腕の中に飛び込んできた陽向。 『直紀・・・・っ。』 『・・・・・陽向・・・。』 1ヶ月ぶりに触れた陽向の体。 強く、強く抱きつかれて、身体中の血が 沸騰したように熱くなる。 陽向の香りが鼻をくすぐって、 体の温もりを感じて・・・ やっと、陽向が俺を選んでくれたのを 全身で受け止める。 陽向・・・・、 陽向・・・・っ!! もう離さない。 離したくない。 もう離れないで。 離さないで。 そうして、俺たちは・・・ 足りなかった何かを埋めるため、 しばらくの間、 ただただ、お互いを抱きしめあった・・・。 『ありがとう・・・陽向。』 『うん・・・。』 草壁を振り向こうとした陽向を 首を横に振って 止める。 『行こう。』 『・・・うん・・・。』 しっかり手を繋いで、ゆっくり その場を後にした。

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