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第5話
ヤバい。朝から性の喜びを堪能していたら、時間が。
僕はいつもより10分も遅い電車にのって登校した。
10分遅いといっても、僕はいつも始業時間の20分くらい前には来て勉強しているので、遅刻するほどではない。
教室に入ると、クラスのノリの良い男子の一人が言った。
「お!優等生!どしたの?今日は寝坊か?」
「え、あ、うん、まぁ‥‥」
朝から性の喜びに浸ってたとか、死んでも言えない!
というか、まず、超絶コミュ障の僕は、普段あまりしゃべらない相手に対して、そこまで多い文字数の言葉を紡ぐことができないのだ!
今から何かを始める気にはなれず、ボーっと窓の外を眺めて時間を過ごす。
今日の1限目なんだっけ‥‥‥‥。
あ、体育。うわぁ‥‥。
僕が嫌いな教科ナンバーワンが、初っ端ですか。体操着をロッカーから取り出し、男子が更衣する6組に移動する。ちなみに、俺は5組。5組と6組の男子で、合同体育。
適当な机に荷物を置いて、手早く着替える。
ちら、と後を振り替える。
少し離れたところで、新井が友達と談笑しながら着替えている。
僕は、その様子を食い入るように見つめていた。
細い指が、シュルリとネクタイを解く。
なんか‥‥‥‥エロイかも。
カッターシャツのボタンを外していく。ひとつ、ふたつ‥‥‥‥
全て外され、鎖骨が露になる。
肩にほくろがあって、セクシーだ。
しばらく見ていたいと思ったけれど、すぐに体操着に隠れてしまい、そうはいかなかった。
続いて、新井はズボンのベルトに手を伸ばす。
あ、そっちはまだ心の準備が‥‥‥‥。
カチャカチャとベルトを外し、ズボンを下ろす。
引き締まって、スラリとした足が晒される。
ボクサーパンツの内側には、新井の‥‥。
ゴクリ。
妄想の世界にトリップしそうになった瞬間。
「宿泊行事ん時から思ってたけど、新井のって、デカいよなぁ。
女の子は、さぞかし気持ち善くなれるんだろうよ」
そ、うなんだ‥‥。デカイのか‥‥うん。
「そんなことないと思うけど‥‥。何?羨ましいの?」
「くっそ。聞くなよ!あーあー羨ましいですよ、そーですよ。
天は二物を与えずとか言うけどさぁ、新井は二物も三物も持ってるよなぁ‥‥
ちんこデカイし、顔もいいし?身長も。180くらいはあるんじゃね?お前」
「4月に測ったときは178だったから、うーん、今5月だから‥‥まぁ、180いってるかいってないかぐらいだろうな」
180‥‥‥‥。そんなに高いんだ。俺と20センチ近く違う。
5センチでいいから分けてくれないかなぁ。
僕が見つめていることに気づいたらしく、新井がにっと笑いかけてきた。
なんか、体育も悪くないかも。
俺もにこりと笑い返したつもりだったが、変な顔になってなかったかな。
胸がドキドキするのはどうしてだろう。
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