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第9話

(side 吉岡) ぺニスを踏みつけられるのは予想外で、体がビクリと跳ねた。 人生でこんなにびっくりしたこと、今までにない、たぶん。 新井を見上げると、口角をひきつらせている。そして、何よりもその冷たい目。 蔑むような、でも熱を帯びているようにも見える、その目が。 じっと、沈黙のなかで見つめ合う。 見つめることに夢中になりすぎて、ふと気がつくと、自分の口から涎が出ていた。 慌てて拭こうとすると、まだ性器の上にあった新井の足がグッと下ろされる。 「アァンッ!イタっ!痛い、から‥‥んっ‥‥‥‥」 「ほら、もう一回しゃぶれよ。」 そう言ってぺニスを半ば無理やり口に入れられる。 だんだん口に馴染んできたソレは、収集がつかないほどに大きくなり、脈打っていた。 私立高校の制服特有の硬い靴で、ズボン越しに性器を愛撫される。 軽く踏みつけたり、先端をグリグリしたり。だんだんもどかしくなってきて、口淫をしつつ、手ずからチャックを下ろす。 さりげなく痴態を晒す僕に気がついた新井はニヤリと笑い、僕の性器に足を伸ばした。 「んふ‥‥‥‥チュッ、んんっぷは‥‥‥‥‥‥ あむっ‥‥チュルルルル」 新井も息が上がってきているのがわかる。感じてくれているのだと素直に嬉しくなる。 こんなことをしている僕らではあるが、つい先日までは互いに見ず知らずの人間だったのだ。相手の性格もあまり掴めていないので、何事も手探りになってしまう。 「俺のしゃぶりながら考え事?」 新井に顔を覗きこまれる。 見透かされている。新井は機嫌を損ねたのか、僕の性器から足を退かす。 ───頼む、このまま放置するのはやめてくれ‥‥。性器の熱はしばらく収まらないだろうし、新井のことを考えながら自慰をする切なさが僕を弱らせる。 「俺ももう限界だし、ちょうどいいや」 ?という顔をしていると、突如、頭をグッと掴まれる。 そのまま頭を引き寄せられ喉の奥まで性器を咥えさせられる。 かと思うと、頭を持ったままズルリと引き抜かれたり。 突然のことでただされるがままになっていたが、ようやく我にかえる。俗に言う、イラマチオというやつだろうか。 口蓋を擦られ、奥までぺニスをぶちこまれて。休む暇も与えてもらえず、苦しくて涙がにじむ。 しかし、新井の欲情した顔が、目が僕の心を震わせる。 疼きながらもあえぎ声をあげる自分に驚く。こんなひどいことをされてもなお、僕は興奮するのか。 最後にとびきり激しいピストンで、新井は僕の中で果てた。 僕のこれまでの奉仕の結果だと思うと、この喉に流れこんでくる液体が愛おしい。 僕はあまり深く考えずにゴクリとそれを飲み込む。 「気持ち良かったよ‥‥。よくできました」そう言って頭そして頬と順に僕を優しく撫でる。 さっきとはうって変わった手つきに僕は翻弄される。 ボーっとした頭では何も考えられず、ただ与えられている甘美な褒美にすがる。僕は新井の手に、無意識に頬擦りをしていた。 「おまえ、けっこうかわいいな‥‥。」 呟いて、僕にキスをする。 舌を絡めて、歯列をなぞって、上顎をくすぐる。 唇を吸い合い、また舌をいれる。 二人だけの、甘い時間が流れた。

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