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第4話

パーティー当日。準備も兼ねて郁人達数人は早めに会場となっているクラブへ向かった。 「郁人は何の仮装すんだっけ?」 仲間内で衣装が被らないように何人かで打ち合わせをしていた。勿論郁人はいかに自分がカッコ良く見えるかに重点を置いて選んでいる。 「今年はヴァンパイア。血糊メイクも頼んであるからお前も一緒に後でな」 「そうだった! なんかズルいよな……郁人、去年もカッコよかったけど今年もそれお前絶対カッコいいじゃん? なんで俺だけ女装ポリスなの? しかもさ、女っぽくもしないで敢えての男スタイルでの女装って……これモテるのかな?」 輝樹は衣装の入っている紙袋を覗きながら溜息を吐く。 「ごめんな、俺何着ても似合うからさ。輝樹のだって面白えから女の子も寄ってくるって」 あまり慰めになっていない郁人の返事に、輝樹は今年も自分はお笑い要員なんだと諦めた。 輝樹はウケ狙いの女装ポリス。晶は輝樹と合わせての男ポリスマンで二人で受付に並ぶ予定だった。因みに一聖はジャック・スパロウ風な海賊衣装で、これも選ぶ際に郁人と二人で揉めてしまって大変だった。 会場に入り各々着替えを済ませる。案の定、郁人は如何にもといった様子のヴァンパイアでビシッと決まっていた。先に来ていたメイクの女の子に「今回は控えめに、俺の顔がちゃんとわかるくらいのメイクでいいから」と注文をつける。気合の入りすぎた血糊ゾンビメイクなんか施したら朱鳥と対峙した時に自慢の顔をちゃんと見てもらえない。正直メイクはしたくなかったけど、それはそれでせっかくのハロウィン、メイクまでしてこその仮装だと悩む所だった。 少し遅れて晶と一聖が到着する。二人は既に着替えておりやっぱりガタイの良い一聖は胸の肌蹴た海賊風の衣装がよく似合っていた。 「さっさと受付の準備な。ネームプレートに名前書いてもらって……それゲーム用の番号ちゃんとふってる? 確認しといて……と、朱鳥ちゃんは? ねえ晶、朱鳥ちゃん……」 「ちゃんと時間になったら来るから。どんだけ心配なんだよ、笑える……あ、輝樹は? 輝樹はもう準備できた? 受付、こっち来て」 着替えを済ませた輝樹が出てくる。晶も一聖も周りの皆んなもその姿を見て大笑い。輝樹一人が不服そうな顔で立っていた。 「せめてさ、ウィッグだけでも被らせてよ……俺、女の子っぽくなりたい」 同じポリスマンの晶とカップルのような姿だけどまるっきり男丸出し。でも可愛げもあるからこのままでいいと皆に言われ「可愛い可愛い」と言われるうちに調子のいい輝樹は段々と満更でもなくなってきた様子で張り切り始めた。 パーティーの開始時間が近付くにつれ徐々に人が集まってくる。皆思い思いの仮装をし、見ているだけで楽しそう。今年は八十人近い人数が集まる予定であっという間にホールは人で溢れていった。郁人はその中に朱鳥がいないか探したいのに引っ切り無しに客に声をかけられままならない。結局朱鳥を確認できないままパーティーが始まってしまった。

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