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第71話

「坊っちゃん、羊さんのケーキが来ました!!」 ミクは目当てのケーキが来ると、目をキラキラさせた。 それが可愛くて、俺はまた写メで撮った。 「羊さんのケーキ、撮ってくれてありがとうございます」 いや、俺は羊のケーキで喜ぶミクを撮っただけなのだが……。 俺はとりあえずパスタを注文していたが、パスタなんて写メってもつまらないから撮らない。 「坊っちゃんのパスタは撮らなくて良いんですか?」 「あぁ、可愛くないし」 「でも美味しそうです。……なら、記念に僕が撮ります!!」 ミクは自分の安心スマホを取り出すと、構えた。 「坊っちゃん、笑ってください」 言われて俺はニコリと笑った。 しかしミクはこの笑顔じゃ満足できないように、 「今までとても楽しそうに笑っていたのに……」 「え」 その指摘で気が付いたが、俺はミク以外は本当にどうでもいい。 だからミク関係以外は全く楽しくない。 だけど、今ミクは初めて俺の前で『俺の写メを撮ろうとしている』のだ。 「……ミクが俺を初めて写メしてくれるんだし、嬉しいよ?」 「その笑顔です!!坊っちゃん、はいチーズ」 ミク、その掛け声は死語だよ。 「本物の坊っちゃんも、画像の坊っちゃんもカッコイイです」 「ミクの待受にして」 「はい!!」 ミクはスマホを置いて、羊のケーキを食べているときにこっそりと今の待受を覗き見をしたら、俺があげた紐パンの画像だった。 そんなに紐パンが気に入ってんの?! ミクは俺の予想に反して変態なんだろうか。

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