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第94話 可愛くない僕はゴリラ
部屋の窓が勢いよく何かで割れた。
ガシャーンッという派手な音の中に、俺の愛しい声がした。
「坊っちゃんっ!!助けにきました、大丈夫ですか?!」
「へ?へぃ」
俺は江戸町人のような声で返事をすると、ミクは先輩とやらを突き飛ばした。
そして、ユラリと立ったミクは先輩とやらの腹を蹴飛ばしてこう言った。
「よくも僕の坊っちゃんを穢してくれましたね」
普段のミクからは想像できないくらいの冷たい声を発するミクの表情は、後ろから見ているので分からない。
「っこのチン毛も生えてないような小学生に、俺が負けるはずが……」
「チン毛だって僕が男の中の男になればいずれ生えます!!坊っちゃんをあられもない姿にした罪は許しませんっ」
這いつくばる先輩の鳩尾に蹴りを一発決めたミク、そして食らった先輩は静かになった。
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