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第99話
「僕がまともに出来るのは護身術だけなんです。メイドのお仕事はとても僕には難しくて」
ミクはその両手を握りし締めた。
「けど僕今日やっと坊っちゃんのお役に立てました!!……この力は可愛くないけど、坊っちゃんのお役に立てて嬉しいです」
ミクの見上げる大きな目からポロポロと涙が溢れていた。
「可愛くない僕の力で、僕は坊っちゃんのお役に立てる。……本当はもっとお役に立てるメイドのような癒やされる出来ることがあればよかったんだけど、僕にはこれしか出来ないから、すみません」
ミクは何を言っているのだ。
「僕は習ってもお茶を上手く入れることも出来ませんし、お掃除も上手くならないでドジばっかり。……専属メイドなのに可愛いところがまるでなくて。それなのにお優しい坊っちゃんはいつも可愛いって褒めてくれます。それが僕はとても嬉しくて!!……本当の僕はゴリラみたいなのに」
ミクは先程とは別人のように可愛らしい泣き顔を晒していた。
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