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♥第3話

見渡せばとても綺麗で清潔感のある校舎だった。 「ここが試験会場だよ。」 机には受験番号の紙が伏せて置いてあり、 何人かの人たちが既に座っていた。 『あの子誰?』 『東雲家の養子らしいよ。』 『え!あの名家の?』 『そう。お父様が言ってた。』 こそこそと話し声が聞こえる。 まぁ関係ないし。 あ、皆の制服可愛いな。 ニットワンピースから紺のカーディガンに白のセーラーを着替えさせられたから一応僕も制服だけど。 トイレを済ませ試験が始まった。 無事、なんとか最後の一問以外は解けた。 けど、だいぶ難しかったと思う。 「ふぅ…解けた‼」 すると前の席の子が話しかけてきた。 『ねぇねぇ、難しかったね‼』 「うん、そうだね。」 『僕、大きいかばんに教科書つめてきたよ。』 「僕は…。」 その子は僕のかばんをみて、 『ふぅん。賢い子って良いよね。』 「違っ…。」 周りの子も僕から離れていった。 高木さんと別れた場所まで行くとそこには、透さんがいた。 「あっ…透さん‼」 透さんは笑顔でこちらに向かってきた。 「瑠璃、ここ間違ってたよ。」 透さんは何故僕の解答用紙を持っているのか。 「受験番号と最後の一問。」 そこには赤いペンで直されている数字がかかれていた。 「監視カメラ見たところ、瑠璃がトイレに行っている間に変えられていたよ。」 「そんな…まさか。」 「まぁ、全然合格だから良いけどね。さぁ帰ろっか。」 「…はい。」 このとき透さんが少し恐く感じた。

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