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♥第10話

目が開いたとき、白い天井が目に映った。 「こ、こは…。」 自分の手首からは止血されて点滴を打たれていた。 「目が覚めましたか…?」 弱々しい声で話しかけたのは高木さんだった。 「…うん。心配かけてごめんね。」 「…もぅ、死んでしまうのでは無いのかと。」 「…うん。…」 高木さんは目を赤く腫らしていた。 「今、先生をお呼びしますね。」 そして、先生が来た。 「お体はどうですか?」 「大丈夫です。特には…」 「足りない血液は豊穣様が献血をしてくださいました。」 「そうなんですか!?あとでお礼言わなくちゃ。」 「それと、赤ちゃんはできていませんでした。」 「…!?…良かった。」 「では、また何かありましたらお申し付けを。」 先生は部屋から出ていった。 次に駆けつけてくれたのは、美和だった。 「あっ!美和、ありがと「バカっ!なんで相談とか何もしてくれないの!?」 「…ごめん。」 美和は凄く怒っていた。が、優しく抱き締めてくれた。 「もぉ、死んでしまうんやないかと思ったわ。」 美和は泣いていた。 「ごめん。」 そしてまた来ると言って帰っていった。 その日透さんは来なかった。 朝、目を覚まし、机を見ると、手紙が置いてあった。 「会いに行けなくてごめん。」 だけだった。 本当に僕は汚れてしまった。 透さんに捨てられてしまった。 僕はそっと部屋を出た。 朝早かったのか、人はあまりいなかった。 僕は点滴を抜き、替えの着替えを着て、病院を出た。 ゆっくりと家と真反対の方向に歩いた。

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