「…この資料は２課にまわしてくれ。」 「かしこまりました…社長…、少しお休みになられたほうが。」 「…別に大丈夫。有野こそ休憩してくれてもいいんだよ？」 「…いいえ、…それより、三井真弓美はどうなされるのですか？」 「…今は三井の言いなりになるしかない。」 「それでは、瑠璃様は…！」 「わかってる！でも、これ以上あのこを巻き込みたくない…。」 「そうですか…おっと、失礼します。電話が。」 そう言って有野は携帯を出すと 「もしもし、有野です。…はい、え！？…わかりました。こちらで。」 「？誰だ？」 「…高木さんから、瑠璃様がいなくなられたと。」 「！？何…今すぐ…！」 コンコン 「ごきげんよう、透さん。会いに来てしまったわ。」 「どうも、こんにちは。今は仕事中なんですが。」 三井真弓美は近づいてきて 「そうなの？…でも、さっき、違う話をしていた気がするのだけれど…」 ニヤリと笑いながら僕に近づいてくる。 香水の匂いがきつくて嫌になる。 「…それと、結婚発表いつにします？」 「三井様、社長は今忙しいのでまた、後日になさってください。」 「有野、…お黙りなさい。」 「しかし、こんなことでわが社が崩れるわけにはいかないので。」 三井真弓美は嫌そうな顔をしながら、僕に勝ち誇ったように 「…まぁいいわ。それではまた後日お伺いしますわ。」 と帰っていった。 「…有野、ありがとう。」 「いいえ。私は仕事をしたまでです。瑠璃様はお探ししときますので、お仕事をなさってください。」 「…ありがとう。」