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♥第34話
僕は無我夢中で走った。
泰久さんに会うために。
「はぁっはぁっ…!泰久さん!」
「…瑠璃…覚悟が決まったんやね。」
「…泰久さん、僕を好きになってくれてありがとうございます。…こんな僕だったけど、泰久さんと過ごした時間は楽しかった。でも、透さんが1番好きなんです。…だから「…うん、わかっとる。…はよ行ってきな?」
僕は涙で汚れた顔をこすって、笑顔で挨拶をした。
大通りを走り抜けていく。
汗だくになって、涙で顔を汚して、必死になって透さんのもとへと走る。
今日は記者会見だった。
透さんと真弓美さんの婚約発表。
よりによってそんな日に有野さんは両親を連れてきたんだ。
僕がまだ透さんを諦めていないことを誰よりも知っていた。
だから、有野さんは。
バァンッ!
勢いよく扉を開ける。
「…はぁっはぁっ…待ってっ…ください…!」
「瑠璃…?」
「透さん、お願い、僕を見捨てないでっ…」
透さんや、真弓美さん、記者などの前で僕は泣き崩れた。
「…嫌いにならないでっ…」
か細い声しかでなかった。
彼に届いていないかもしれない。
けど、こんなバカな僕を愛して欲しい…
嗚咽が混じりながらも独り言のように言葉を放つ。
そして、
「…嫌いになるわけがない…愛してる。」
透さんは上着を僕に被せ、抱きしめてくれた。
涙が溢れて止まらない。
「…っ…透さん、あなたこれからどうなるのか「会社は潰させないし、これからは三井家の言いなりにならない!」
透さんは僕を抱きしめながら、近くにあったマイクをとり、
「…僕は、瑠璃と結婚します。」
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