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誰に対しても、本気になれなかった。 ルイさんやハルさんは格が違うが、俺もそれなりの見た目をしていると思う。加えて身長も179センチときているものだから、言い寄られることも多くて。 ―――でも、 「やっぱり私のこと、好きじゃないんでしょ?」 目の前に座る女の子は、きっと可愛い部類に入る。胸だって大きいし、脚もすらりと細い。 今度こそ、好きになれると思っていた。 「………ごめん」 頭を下げる俺の耳に、カタリと椅子の動く音が届いた。立ち上がったまま、何とも言えない表情で見下ろしている彼女。 「…これ、明日渡そうと思ってたんだけど」 そう言い置いて、背を向けた。 今回は平手を喰らわなかった、とぼんやり窓の外を眺める。机の上に視線を移して、気付くのは。 『―Happy Birthday―』 今年も最悪な誕生日になりそうだ。

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