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4.
いつものようにサークルで汗を流して、シャワーを浴びて。スマホを確認してから部屋を出る。
ただ、いつもと違うのは。
「あっ、細田くん!」
「これ…受け取ってもらえますか?」
「お願いします…!!!」
毎年のことながら、頭を抱えたくなる。ただでさえ暑いのに、こうも人が集まってしまっては困るだけだ。
「ほーそーだー………」
地を這うような声を出すのはサークルの先輩。この現場に居合わせるのは3回目だろうか。
「す、すいません……あの、取りあえず全部頂くので…」
恨めしげな視線を寄こす彼に頭を下げてから、持参した紙袋を広げる。
あっという間に満杯になった3袋を見つめて、ため息をつく。
「ま、取りあえず…誕生日おめでとう」
嫌味っぽく言われて軽く睨むと、肩を竦めながら立ち去ってしまった。
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