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7.
「ちょっと……ハルさん?」
ひとしきり紙袋を漁ってからしばらくして。
「んん………」
ハルさんの様子が明らかにおかしい。
ほんのり赤く染まった頬のまま、こっくりこっくりと船を漕いでいる。
「まさか…酔ってます………?」
頼んでいたカクテルはどれも度数の低いものばかり。前にも飲んでいたけれど、こうはならなかった。
「……もしかして」
チョコレートの箱を裏返す。
それはいわゆるウイスキーボンボン、と言われるもので。
(…に、しても)
弱すぎやしないか。
今にもカウンターに突っ伏してしまいそうな姿を横目で眺めて、ため息をついた。
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