7 / 89

7.

「ちょっと……ハルさん?」 ひとしきり紙袋を漁ってからしばらくして。 「んん………」 ハルさんの様子が明らかにおかしい。 ほんのり赤く染まった頬のまま、こっくりこっくりと船を漕いでいる。 「まさか…酔ってます………?」 頼んでいたカクテルはどれも度数の低いものばかり。前にも飲んでいたけれど、こうはならなかった。 「……もしかして」 チョコレートの箱を裏返す。 それはいわゆるウイスキーボンボン、と言われるもので。 (…に、しても) 弱すぎやしないか。 今にもカウンターに突っ伏してしまいそうな姿を横目で眺めて、ため息をついた。

ともだちにシェアしよう!