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「…弱い酒って、ウイスキーだったんですね」 頬杖をついて横を向いた瞬間、するりと絡む視線。 反射的に、息を詰めた。 ―――音が、全て消える。 絞った照明が彼の潤んだ瞳を煌めかせ、ままならくなった呼吸。綺麗な弧を描く宝石から目が離せない。 吸い寄せられるように、手を伸ばした。 「…ハル、さん」 駄目だ、と頭のどこかで警鐘が鳴っているのに。 まるで何かに操られているとしか思えない。 滑らかな頬を包んだ瞬間、カランと高い音が響いて。 夢から覚めたような心地の中、慌てて距離を取る。火照った手のひらでグラスを覆い、見つめるのは溶けた氷。 「ふふ、細田くんも……同じかお、するんだ…」 ひそりと耳朶に忍び込むのは、普段の彼からは聞いたこともないような甘い囁き。 意味を問う間もなく、腰骨のあたりに小さな衝撃が走った。とん、とぶつかるのは指先だろうか。 「溜まってんだろ…?」 ―――ぬいてやるよ、 唇の動きだけで象られた言葉を認識して、ごくりと唾を飲み込んだ。

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