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9.
あれからどうやって店を出たのか、全く覚えていない。
気付いたらシーツの上で。俺に跨る彼を、どこか他人事のように眺めた。
「んー…あっつ…」
シャツを脱ぎ捨てる様子は豪快なのに、何故か色気を感じてしまった俺はどうかしているのだろうか。
「は……何、考え事…?ヨユーじゃん」
「いや、そんなんじゃ―――…っ」
首を振りかけたものの、動けなかった。下腹部にうずくまったハルさんは、ズボンのファスナーを歯で下ろしながら、流し目を寄越してきて。
下着越しに熱い舌を感じ、あまりの色香にくらりと眩暈がする。
「……良いよ、すぐその気にさせてやるから」
舌なめずりをした彼の、こんな顔は…知らない。
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