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「ねえ……声、なんで出さないんですか」 顎を捉えてこちらを向かせれば、涙に濡れた瞳で睨まれて。 「…っ、んなの…いいから、黙ってイけ、よ…」 唇を噛んで目を逸らす姿にイライラした。 知らなかったとはいえウイスキー入りのチョコレートを食べさせた俺も悪かったとは思う。でも、誘ってきたのはそっちなのに。何故そこまで言われなければならないのか。 大体、ホストという職業をしているくせに男も受け入れてしまうことが驚きだ。やけに慣れているし、過去に一体何人と関係があったのだろう。 そこまで考えを巡らせて、頭を振る。 「はっ…オナホ代わりに扱われんのが興奮する、ってか」 小さく毒づいて、腰の動きを早めた。そうと分かれば相手のことなんて気遣う必要もない。ただひたすら、自分だけが気持ち良くなるためだけに。 ―――…この、変態 溜まった熱を開放した後、見下ろす背中に呟いた気がする。

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