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「その、『女の客に文句を言われないために男を選んだ』って…ルイからも聞いた?」 「いえ、直接は…ただ、きっとそうなんじゃないかって思います。あの女の人も言ってたし」 話を聞く限り、これはお互いに多大な勘違いをしている可能性がある。翔という男も気になるが、まずはそれよりも。 「今までのルイを思い出して。あいつが、自分の営業のために君を利用すると思う?そんなに酷い奴だったかな」 しばらくして首を横に振った、彼の顔がくしゃりと歪む。 「絶対に、芹生くんを傷つけるはずがない。」 ゆっくり頷いた彼が、なんだか今にも泣きだしてしまいそうで。あまり自分を責めないように、と頭を撫でた。 次いでするりと指を絡めて引っ張り、溶けたチョコレートを舐め取る。 「同じ性別の相手を想う気持ちが、どういうものか…教えてやるよ」 すんなり上手く行く訳もない、辛く苦しい道。進むにはきっと生半可な意志じゃ無理だろう。それでもあいつは、芹生くんを選んだ。 (貸しひとつ、だな) こんなところですれ違ってほしくない。 俺が手伝って。 それで、ルイの心を少しでも分かってくれたら―――と。

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