27 / 89

27.

(参ったな………) 電話越しでも分かるくらいの落ち込みようだったとは。 「…はは、君にはお見通しかぁ」 腰掛けていたベッドに倒れ込み、ぽふりと受け止めてくれる弾力に背中を預けて目を閉じた。 「芹生くんはさ、別れた後も忘れられない人って…いる?」 『忘れられない、ですか…』 しばらく黙り込んだ後、ぽつりぽつりと語ってくれた。 『告白されて付き合うことが多かったんですけど、みんなだいたい俺の容姿しか見てくれなくて…それが分かった時、"あぁやっぱり"って思うようになりました。そういう人達に対しては無意識に俺も同じ扱いをしていたんじゃないかな、と。だから、別れた後に引きずるような人は居ません。意外と冷たい、とも良く言われました。でもその時はその時で精一杯だった…とは言えますよ』 その気持ちはすごく分かる。相手が自分を想う気持ちと同じレベルで応えるのが普通だ。 じゃあ、俺は―――? 付き合っている最中はおろか、捨てられた後もこうして苛まれる。これは、もはや呪縛。 「……俺、どうしたら良いかな」 このままだと確実に細田を傷付けてしまう。離れなくてはいけないのに、身を委ねて楽になれと悪魔が囁く。日増しに強くなるその声に、いつまで耐えられるか。

ともだちにシェアしよう!