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*34.
これはきっとお礼のつもりなんだろう。
今日だけ許された優しさを、心に刻み込んでおきたい。
「いつも自分で慣らしてるんですか?」
「そ、う…だけど……」
問いかける彼の表情は見えない。ここで考えても仕方ない気がして、再び昂りに舌を這わせる。
「指、増やしますね」
内壁を擦るように抜き差しされ、そろそろ咥えているのが辛くなってきた。バラバラと動く指を感じて思わず締め付けてしまう。
「ほらハルさん、力抜いてください」
「っ…んなこと、言ったって…!」
引っ掛けた指で左右に広げられる感覚に合わせて息を吐く。快感を拾いやすくなってしまったこの身体が恨めしい。
「うーわ、真っ赤…えっろ……」
ぽつりと呟く言葉を聞きたくなくて、思わず目を瞑った。立てた膝が震え出す。
「ちょっと、上の口がお留守ですよー?」
からかわれてムッとしながらも、習慣というものは虚しいだけで、丁寧に舐めしゃぶってやろうという気になる。今から胎内に受け入れるものだと思うと、正直なところ愛しくて仕方がない。
「ひ、っ…ぁ…!」
ある一点を指が掠めた時、背筋に電流が走ったような衝撃を受けて。覚えのありすぎるそれに、思わず口を離して酸素を取り入れる。
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