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42.
さすがにやり過ぎた、と反省の海に沈む。
強請られるままに振舞ってしまったことを恥ずかしく思いながら、やはり年の差を感じて落ち込んだ。
『っ…ハル、さん……』
『そう、じゃない…よな?』
『……橋本、さん』
告げた途端、ふわりと蕩けるように変わった表情が忘れられない。
「…これからも、呼びます」
たとえ、もうあの表情が見られなくても。
「今日だけ、なんて…許してあげませんから」
布団にくるまって寝息を立てる、隣の温もり。見下ろしながらぽつりと呟いた。
しばらく眺めるうちに、自然と目が行くのは艶やかな唇。薄い自分のそれとは対照的に、柔らかく熟れた果実のようで。
(…そういや、キスしてねぇな)
口で慰めてもらった時は、それもそうかと納得したけれど。回数を重ねても変わることは無く。まあ、セフレには必要ないのかもしれないと思い直した。
「……え」
見つめる先の、閉じられた瞳。その隙間から流れる雫は―――
思わず指で拭うと、微かに身じろぐ。断片的に聞こえる謝罪に愕然とした。
寝ているとはいえ、泣きながら謝る…なんて。
放っておけば良いだけの話だ。でも、妙に気になってしまう。
(誕生日……か)
そっと前髪を寄せると、皺の寄る眉間が顕になった。小さくため息をついて、考えを巡らせる。
この人の過去を聞けそうな相手は、1人しか居ない。
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