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ほんとうに、何を考えているのか全く分からない。 機嫌が悪いのかと思ったのに、今度は甘やかすような態度を取ってみたり。ぐるぐると心をかき乱される。 与えられる刺激に熱い吐息を零す俺を見下ろして笑う彼の息もまた弾んでいて。 そんなイレギュラーに毒されたか、再びサイドテーブルに伸びる手元を視界に捉えた時、無意識に口を開いてしまう。 「…付けなくても、いいけど」 「え?」 聞き返されて、自分が何を口走ったのかを悟る。言ってしまったからには戻れないと半ばヤケになりながら吐き捨てた。 「……ゴム」 シーツを手繰り寄せて、ぼそりと呟く声は届いただろうか。 しばらくの沈黙。いつものように冗談だと明るく笑って、誤魔化そうとした―――その時。 「…気持ち悪いだろ、そんなん」 降ってきたのは予想の斜め上を行く返事。流石に痛いと訴える心臓を押さえて、震える息を飲み込んだ。 気持ち悪い。 だったら、この行為は? それすらも気持ち悪いと言うのならば、いっそのこと――… 「はは……そう、かよ」 落ち着いた声が出せたことに安堵しながら、瞼を伏せる。閉じた隙間から零れる涙は、真っ白なシーツが全部吸い取ってくれた。 いっそのこと、終わりにしよう。 そもそもの始まりが間違っていた、この爛れ切った関係を。 しばらく目は開けられそうにないとぼんやり考えながら、襲い来る衝撃に備えて身体の力を抜いた。

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