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弘人から渾身丁寧な謝罪を受けて、止まっていた時が再び動き出したような毎日を過ごしてきた。 少しずつ、ほんの少しずつではあるものの、トラウマと呼べる傷も癒えてきたと思う。 「おはよ」 ひらりと手を振る、この笑顔にも慣れた。柔らかい雰囲気で"友達"を語られるとどうしても拒めない。 (…だって、俺は) あの頃求めていたのはこんな温もりだったのだから。つきりと痛む胸と付き合いながら、ぬるま湯に浸かる日々。 優しくする、と流されるままに辿りついたのはラブホテル。 「本当に良いの?」 言葉少なに問われて、ふと一瞬浮かんだ顔。4つ歳下の――… 「…いい」 首を振った。別にを気兼ねする関係でもない。そう、ただのセックスフレンド。 うん、と呟くように告げた弘人が扉を開ける。 「後悔しないなら、おいで」 一歩、踏み出した。やけに大きく響いたのは扉の音、それと自らの心音。 「腰、どう?」 「ん……」 ベッドに伏せる俺に笑った弘人が、ペットボトルを投げて寄越す。ぽすんと隣に着地したそれを取りながら上体を起こした。 「…相変わらずお上手で」 返事は片目を眇めただけだった。緩く弧を描く口元を見て、ため息をつく。自信があるのだろう。 (そりゃ、まあ……あんだけ啼かされりゃあな) 元々身体の相性は悪くない。だからこそ関係を持てた。 でも、と頭をかく。 (…違和感、っつーか) どこか腑に落ちない。昔の自分ならそれこそ諸手を挙げて喜びそうな状況なのに。 首を捻る俺に、気が向いたらまたとの誘いを掛けた弘人。上の空の状態で特に深く考えず頷いた。

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