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依頼 その二

雨音が聞こえる。 じめじめとした空気がまとわりつく。 コチコチと聞こえる、時計の音。 膝元にお茶の温かい湯気を感じる。 「慶明様」 か細い声が聞こえる。 まだ若い男の人の声だ。どこか悪いのか、時々咳をしている。 「どうか、お願いします。弟を助けてください」 「……上手く行くか分からないですよ?あなただってタダでは済まないかと」 しゅるしゅるとどこからか変な音が聞こえる。 (蛇……?) 「私はどうなってもいいのです。ただ、この指輪を返したいのです」 コトリと音がした。 小さな木箱のようなものだろうか。その中に指輪が入っているらしい。 「……では、お話しください」 「……私たち兄弟は双子で、弟の流(ながれ)は私を人一倍慕っていました。それは周りから見れば、異常だったのかもしれませんが、私にはそれが普通のことで、慕ってくれる弟が可愛くて仕方ありませんでした」 雨足はまだ激しい。 瓦を叩く雨粒の音が、耳に響く。

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