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第1章-4
「今日は、本当にありがとうございました」
「いいや、僕の方が礼を言いたいくらいだ」
窓の外は、とうに日が暮れていた。
榎本とはすっかり意気投合して、一時間以上たわいのない雑談で花を咲かせたのだ。
せっかくの縁だから、と連絡先まで交換し合う。榎本という、日常生活ではまず知り合うことのないようなタイプの友人が出来たようで、柊は嬉しかった。
「また、こうして、お茶にでも行こう。出来上がった君の絵もどこかで渡したい」
「ほんとですか?是非!今日は、お先に失礼いたしますね」
柊はバーガーの包み紙をくしゃくしゃに丸めて、トレーを持って立ち上がる。すると、榎本が半ば立ち上がってまで、やんわりと奪うようにトレーを持つと、テーブルに戻した。
「もう少しここにいるから、置いていって大丈夫だよ。僕が片付けるから」
「あっ、すみません」
榎本の気遣いに柊は頭を下げて、その場を後にした。
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榎本は柊が完全に店を出たことを見計らうと、丸められたバーガーの包み紙を開いて軽く皺を伸ばして、畳んだ。
そうして、柊が口をつけたストローを愛おしそうに紙ナプキンで包むと、包み紙と共にゆっくりと自分の鞄にしまった。
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