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闇のルール02

 俺はぶるっと身震いをすると、太腿にある優衣の手をどけさせた。 「やめっ……っぁ!!」  優衣がカリッと首筋を噛んだ。 「んふっ。それとも愛人っていう手もアリかもね。どう? 私の愛人にならない……お、兄、ちゃ、ん?」  優衣が、俺の首筋から離れるとバサッと何かを脱ぎ捨てる音がした。  俺は振り返ると、キャミを脱ぎ捨て、ブラジャー姿でベッドに座っていた。  意外と締まっている身体つきに、『おっ』と思ってしまう。  十代の女の身体をよく知っているわけじゃないが……。これはなかなか鍛えてある。 「ちょ……おいっ! 何を考えてるんだよ」 「さあ、選んで。私に殺されるか。それとも私の愛人になるか」  優衣が四つん這いになって、俺の顎に手を置いた。  優衣は俺を、完全に見下していやがる。兄として見ずに、下僕としか見てない。 「馬鹿にするのもっ……」 「私、全てを壊せるわ」 「は? 何を言って……」  優衣の手が顎から首を通り、鎖骨へと下がっていく。  Tシャツの上から俺の突起をキュッと摘まむと、耳元に口を這わせた。 「全てを壊すほどの情報を持っているの」 「……んあっ、ちょ…待て。情報って」 「ここで、言うわけないでしょ。私、男にはだらしない生活を送ってきたけれど。馬鹿女じゃないの」  優衣の指がさらに俺の突起を弄くりまわす。  最近、セックスすることはあってもイッてなかったせいか。股間の反応は早い。  短パンの中で意思を持ち、俺の意思とは正反対に優衣の指を受け入れる。 「答えをチョウダイ。死か、愛人か。どっち?」  耳元で甘い声で、優衣が囁いた。  ぐっと俺の背中に大きな胸を押しつけてくる。これで普通の男なら、ころっと愛人宣言をしてしまうだろう。  目の前に、スタイルの良い女がいて。自分を誘ってきている。これを拒んで、死を選ぶなんて到底しないだろう。  俺は自分勝手に意思を持ち、固くなったペニスに視線を落とした。 「さあ、答えて。どっち?」  優衣の手が腹へとさがり、俺の股間で止まる。 「こっちに聞いたほうが、早い?」なんて、クスッと優衣が笑い声をあげた。  俺は優衣の手首をぐっと掴むと、拒否の姿勢を示した。 「答えなら決まってる。殺される前に殺してやるっ!!」  俺は優衣を再度、ベッドに押し付けた。枕の下にあるナイフを手に取ると、口でケースを噛んでナイフの刃を外に出した。 「お兄ちゃん、やめてっ」  天高くナイフを振りあげると、優衣が顔を覆って声をあげた。  俺がピクッと手を止める。 「……なあんてね。私が、『家族』になるとでも思ってるの?」  ニヤッと口元を緩めた優衣が、拳銃を手にして、俺に銃口を向けた。 「私の勝ち、ね。さよなら、小森 蛍。私が組織を受け継ぐわ」  優衣の指が動く。引き金がゆっくりと動くのが見えた。  ズドォン――。  遠くで聞こえた。拳銃の音が……。  あんな遠くで聞こえたなら、俺には当たってないだろうな。

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