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甘い時間01
―恵side―
「そう拒むな」と私がベッドの中で言う。
智紀は火照った体で、首を左右に振ると私の体を押し返す。
「久しぶり……でも。だめ、だ。もう、だめ。道元坂……怪我してる、だろ」
乱れた呼吸で紡ぎ出される声は、誘ってるようにしか聞こえない。
なにもわかってないな、智紀は。
その気づかいに、息遣いが、余計に煽ってるって。
「けが人を思うなら、押すのをやめてもらいたいな。痛いんだが」
「あ! 悪い。俺……ああぁんっ」
智紀が手を離したとたんに、私は智紀の中に入り込んだ。
智紀が腰を浮かせて、甘い声をあげる。
智紀の言う通り。久しぶりすぎる。歯止めがきかない。
智紀に優しくしてやりたいが、こっちもいろいろと限界だ。
「智紀、悪い。優しくできそうにない」とだけ告げると、私は何度も強く腰を打ち付けた。
「だ……あ、大丈夫、んぅ。あ」
智紀の熱い吐息が、欲情をさらにあおっていく。
私は智紀に、どれだけ辛い思いをさせたのだろう。
こんなに愛しいのに。
愛しているのに。
傍に居てほしいのに。
私は頂点に達すると、智紀をぎゅうっと抱きしめた。
「ほんとに、悪かった。智紀、申し訳ないことを私は……」
「ちょ……。道元坂! だから、その話は……」
「愛してる、智紀。もう、離したくないんだ」
「あ、ああ、うん。俺も離れたくない」
智紀が「よしよし」と背中を撫でた。
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